7月5日(金)19:30〜 「はじめた人のはじめ方〜まちのたまり場編〜」のイベントを開催いたしました。
当日は約30名の皆様にお越しいただき、ともに「はじめ方」について考える時間を過ごすことができました。
「はじめた人のはじめ方」は、まちを素敵にする“はじめた人”と、これから何かを“はじめたい”と感じている方とを“つなぐ”イベントです。
そんなイベントを福岡の中心にある天神から発信をすることで、福岡で自分らしく何かをはじめる人を応援できたらと思っています。
今回はゲストに、久留米のシェアオフィス“Mekuruto”を運営するおきなまさひとさんと、那珂川のシェアオフィス“博多南しごと荘”を運営する森重裕喬さんを迎え、HOOD天神のコミュニティマネージャー脇山とのトークセッション形式で、「はじめ方」について考えを深めていきました。
トークショーの内容の一部を
せっかくなので記事でもご紹介したいと思います。
「何かをはじめたいな」
「はじめたいけど何からはじめれば良いか分からない」
と思っている方にこそ、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。
まずは自分の好奇心に気づくこと
脇山:今日はよろしくお願いします!まずは現在の活動について教えてください。
おきなさん:現在は、久留米市で「地域サイズでじぶんたちの暮らしを豊かにするプロジェクトをつくる仕事」をコンセプトに、じぶんサイズな暮らし方を選ぶ人たちを“まち人”と呼んで、まちびと会社visionArealという会社として活動をしています。久留米でイベントを企画したり、人と人をつないで地域の中で面白いことをしたり、「自分の目の前を豊かにする」という思いが根本にあります。そんな活動の1つがにシェアオフィスMekurutoの運営です。
森重さん:僕の活動は、iphoneの画像アルバムを見てもらえれば全て分かると思ったんですけど、SUPの写真とか那珂川の山の写真とか、、笑 でも映らないみたいなので、口頭で紹介しますね。
僕は今、株式会社ホーホゥという会社で那珂川のまちに携わる取り組みをしています。鍬のことを英語でhoe(ホー)と言いますが、鍬(hoe)で耕し種をまき育てること。そして「ホーホゥ」はフクロウの鳴き方の象徴でもありますが、知恵の象徴であるフクロウのようにノウハウを蓄えていくこと。フクロウの鳴き声のように培ったノウハウ(方法=ホーホゥ)を広く伝えていくこと、という3つの意味が込められていて、そんな思いを持って那珂川のまちを元気にする活動をしています。
ホーホゥは3人で経営をしているのですが、僕は「鍬=hoeで様々な課題を耕す、掘り起こす」という役割を担っています。
脇山:ありがとうございます。それぞれの現在の活動にいたるきっかけってどんな経緯だったのでしょう?
おきなさん:もともとは、実家が飲食店をやっていた関係で、久留米で飲食店を経営していました。いわゆる世にいう若手の飲食店経営者をやっていたんですけど、その頃自分自身も子どもを持つ父親になって、久留米のまちに親子でいける飲食店があまりないということに気がついたんですね。
子どもが泣けば「ごめんなさい、、」と恐縮してしまって、行く場所を選んでしまう。子どもを持つ親がなんとなく窮屈に感じることがあるんじゃないかと気付き、ないならば自分が作ろうと、自分の飲食店を親子が足を運べる場所にできないかと考え始めました。
子どものための遊び道具を揃えたり、子どもを周囲のみんなで見守るような場づくりをすることから始めていったことが、現在の活動のきっかけというかはじまりでしたね。
脇山:なるほど。ご自身が子どもと行ける場所がもっとあったらいいなという思いが原点となって、それを実現した結果が今に結びついているんですね。森重さんはいかがでしょう?
森重さん:今の活動のきっかけになったのは、学生時代にやっていたカフェの運営ですかね。当時、大学内に建物の中からは見えない森とそれにつながる小部屋があって、ここで何かやってみたいねとカフェを始めることになったんです。学校内にあるにも関わらず、そこだけエアポケットのようで、突然異空間に来たようなその場所に行くのが大好きでした。当時、アートや文化を発信する場所もあまりなかったので、そのカフェを場として活用して、本当に色んな取り組みをしましたね。それが現在の活動のきっかけになっていると思います。
脇山:エアポケット、、面白いですね。身近にあった自分の場所でどんなことができるのか、どんなことを発信していこうかということから始めたんですね。
自分一人のものにせず、誰かに伝えてみる
脇山:そんなきっかけから、現在ではまちに携わる“仕事”になっているのですが、どのように発展させたのでしょう?
森重さん:僕は、今も当時も、やろうとしていることとか興味のあることを人に言ってました。学生時代のカフェ運営は、このまま続けても仕事としてはやっていけないって思ってたんですね。働いてお金を稼いで、仕事としてこういう活動をするためにはどうしたらいいのか、考えたり、周りの人に考えをぶつけたりしていたら、案外自分の身近に実験場があった、というのが那珂川なわけです。
脇山:確かに森重さんって、今でも「僕こんなことやろうと思ってるんですよね〜」っておっしゃってますよね。私も森重さんから聞かれたことあります。
森重さん:そうなんですよ。結局ね、自信がないんだと思います。笑 だから人に聞いてもらって言葉にできるところまで落とし込まなきゃなって思っています。
脇山:なるほど〜。自分が言葉にできるまで落とし込むって重要ですよね。自分のものにするというか、、。
おきなさん:人に話してみるって大事ですよねー。僕の場合は、飲食店の場が色んな形に改変していくことで、たくさんの可能性が生まれてくるようになって、それが溢れ出すようにまちのコミュニティスペースとして、活動が繋がっていったんだと思います。飲食店での活動に参加してくれた色んな人の声があり、そこに僕の思いもあってどんどん形を変えていった結果だったと思いますね。
脇山:場がどんどん改変していったり、自分の考えをアウトプットしてみたりして、どんどん自分で動かして行くことでどんどん活動が広がっていたんですね。
“惚れられる人”に巻き込まれてみる
脇山:さて、今回のテーマは「まちのたまり場」ということなんですが、お二人が捉えているまちのたまり場ってどんなものですか?そしてそれをつくっていく上で、こだわりなんかはありますか?
おきなさん:例えば、軒先におばあちゃんが一人座っていたとして、それってもうそのおばあちゃんの居場所だと思うんですよね。だから当たり前に前を通った人はおばあちゃんに「こんにちは〜」って挨拶したり、話しかけたりして。おばあちゃんがいるということが、場をつくっているんじゃないかなと。そして、その居場所は、こっからここは私の居場所だから敷居をまたがないでねということではなくて、グラデーションのようにその居場所ができているんだと思います。それがまちのたまり場に通ずるんじゃないかなって思ってます。
脇山:なるほど。そのグラデーションが色んな人のものと交わっていくようなイメージですかね。
おきなさん:そうですね。複数人の居場所の重なり合いで、場をつくっているというのが思い描いているまちのたまり場です。
森重さん:僕は、デパートのトイレの個室が理想の場のかたちですね。
脇山:デパートのトイレの個室!
森重さん:はい、デパートのトイレの個室って、「人がいるんだけどひとり」じゃないですか。それがいいなと思っていて。人の気配はあるんだけど、ひとりで居られる、ひとりの空間があるという安心感が理想の場だなと思ったりします。
脇山:なるほど。分かりやすいですし、すごくいいですね。そんなお二人の理想の場に対して、現在の活動の中で工夫していることやこだわっていることはありますか?
おきなさん:「惚れられる人」と仕事をするようにしていることですね。色んな人と仕事をする機会があるんですけど、やっぱり「惚れられられない人」と仕事をすると、本当にスムーズに物事が進まなかったり、結局「あれ、これなんのためにやっているんだっけ?」と本質を見失ってしまうことがあるなと思います。だからこそ、惚れられるかどうかということを軸に人をちゃんと見ています。
森重さん:「惚れられる人」って大事ですよねー。博多南しごと荘でも、入居審査として入居して行う仕事について教えてもらうんですけど、その仕事は世に言う仕事ではなくて、「あなたが仕事だと思うことは全てしごと」としているんですよ。なので、学生が部活動のことを仕事だと思って活動をしているのであれば、それは仕事ですという基準で見ています。だから、ある意味「人」を見させてもらっていますね。多分一番重要なことですよね。
おきなさん:そうそう。あと、Mekurutoでは入居者さんと運営者とを分けて色んな仕組みを作ってガチガチにやるのではなくて、入居者さんも運営者も同じメンバーとして色んな意見を言い合って一緒に場を作ることをやっています。必ず全員でこれをやる!とかはなくて、やりたいことがある人はやるし、応援をしたい人は応援する。巻き込むと言うより、巻き込まれるという感じです。
だから、ご飯会をやるときも運営者の僕が「ごめん!ちょっと今回は忙しくて企画に手が回らないから助けて!」と入居者さんにヘルプを出すことだってありますよ(笑)
森重さん:うわ〜それを聞いてすごく安心しました。僕だけじゃないんだって(笑)ある意味、職務放棄と言われるかもしれないけど、僕もあまりこちらから何かを企画したりとか、巻き込んだりすることはないですね。なんだったら、実は最近自分自身も博多南しごと荘に場所を借りました!もう入居者気分で一緒に場をつくっているっていう感覚です。
脇山:意外!!笑 巻き込み上手だし、経験もあるお二人だからきっと上手に巻き込んでいるのかと思ったら、実は巻き込まれてみることに「まちのたまり場」を存在させる価値があったのですね。すごく勉強になりました!ありがとうございました!
トーク終了後は、懇親会ということで、ご参加いただいた皆さんとゲストを交えた懇親会を行いながら、交流を深めました。
一見、巻き込み上手がまちのたまり場をはじめ、継続させることができるのかと思いがちですが、それぞれのまちのサイズや特徴に合わせて、巻き込まれ、巻き込み、たまり場を温めていらっしゃるんだなという学びになりました。
「はじめた人のはじめ方〜まちのたまり場編〜」がこれからはじめる方の背中をそっと押すような時間になっていたら嬉しいなと思います。
こちらのイベントは、来月も開催します!
ご参加お待ちしてます!