10月10日(木)19:30〜「はじめた人のはじめ方〜大人の学び編〜」のイベントを開催いたしました。
当日は約25名の皆様にお越しいただき、ともに「はじめ方」について考える時間を過ごすことができました。
「はじめた人のはじめ方」は、まちを素敵にする“はじめた人”と、これから何かを“はじめたい”と感じている方とを“つなぐ”イベントです。
そんなイベントを福岡の中心にある天神から発信をすることで、福岡で自分らしく何かをはじめる人を応援できたらと思っています。
今回はゲストに、街をキャンパスにしながら学びの場をデザインする「福岡テンジン大学」の岩永真一さんと、企業向けのオープンイノベーション人材育成や多様な人が交流する場を生み出している「株式会社YOUI」の原口唯さんをゲストに、「はじめ方」について考えを深めていきました。
当日のモデレーターは、ワークショップデザイナーとして様々な場で学びの場を展開し、福岡女子大学の講師としても活躍をされている岸智子さんにお願いし、「大人の学び」について語っていただきました。
せっかくなので、今回もトークショーの内容の一部を
記事でもご紹介したいと思います。
「何かをはじめたいな」
「はじめたいけど何からはじめれば良いか分からない」
と思っている方にこそ、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。
自分の経験を振り返る
岸さん:今日はよろしくお願いします!早速お二人のご紹介を含めてスタートしていきたいと思いますが、今日はテーマが学びということで、せっかくなのでこれまでの「学びとキャリア」を振り返ってそれぞれ描いてみました。みなさんのお手元にも今日は、簡単なテンプレートをご用意したので、今日のイベントの中で気づきがあれば、ぜひ皆さんもやってみていただけたらなと思います。
それでは、僭越ながらまず最初に私の「学びとキャリア」の表を使って、自己紹介させていただきます。
現在は、このHOOD天神では月に1〜2回イベントを中心にお手伝いさせてもらっていて、本業をしながら週末は福岡女子大学で社会人向けの講座のコーディネーターと講師をやっております。
私は、キャリアのスタートは小売業で店舗販売、店舗づくりやマーチャンダイジングでした。その後、転職をして経理事務の仕事をしていた時に圧倒的なスキル不足を痛感して、通信制の大学に通い始めました。
そしたら、意外とこれが面白くて調子に乗ってそのまま系列の大学院に進み、その時にワークショップやフィールドワークというものに出会いましたが、学ぶことがすごく楽しくなったのと、定時に終わったあとに別の世界があるということに味をしめてしまって(笑)修了した後も、いろんなセミナーに足を運んだり、自分で勉強会を立ち上げたり、ワークショップをいろんなところで立ち上げたりしました。
その後、6年前に福岡に移り住んで、縁があって福岡女子大学で社会人向けのプログラムが始まるということでお声かけをいただいて、3年間の職員経験を経て講師の活動をさせていただいているというところです。
「教える」という活動をするに当たって、教えるためにはプログラムデザインを含めて勉強し直さなければと思って、学び足しをしながら現在も活動しています。
岸さん:というところで、岩永学長から自己紹介と学びとキャリアロードの紹介をお願いできますか?
岩永さん:こんばんは。僕は今福岡テンジン大学の学長としての肩書きの他に、民間企業の社員や大学の非常勤講師、行政の委員会にも所属させてもらっているので、一人で産学官民とNPOを渡り歩いている仕事をしています。
こんなに多岐に渡って仕事をしていくには、やっぱり越境して学んでいかないとアウトプットできないなと思っています。
そもそもなぜそこに至ったかと言うと、僕の学生時代は就職氷河期で、福岡大学を卒業する時に内定ゼロで卒業をしたので、いわゆるフリーターとして社会人を始めました。周りの友達を見たら、スーツを着て初任給がいくらと話していて、一方で自分は月の収入は10万円くらいで私服で働いていて。絶望しかけたりもしたんですが、その時に「この先どうしようかな」とか「どうやって自分の身を立てようか」と相当考えて、しがみ付くように本を貪り読み、新聞を読み、世の中がどうなるかをひたすら考えて、自分をそこに合わせることを考えていました。なので、どこかの組織に自分の身を預けてキャリアを考えるのではなく、組織に頼らず、世の中の流れの中でいかに自分という人間をポジショニングしていくかという学び方を考えていました。
なので、僕自身1番学んだのは、「他者との関係性の中で学んできた」というのがほぼ全てになってます。その他者というのは、僕の中では社会的なコミュニティだったということことが大きかったなと思います。
岸さん:ありがとうございます。すでに、もうたくさんヒントがありそうですが、キャリアロードの細かなところは、懇親会でぜひ質問をしてください。続いて、唯さんお願いします。
原口さん:原口唯と申します。中学校の時は、根暗でオタクで本の虫で、運動が大嫌いで、人嫌い。人と関わらずに生きていきたいと思っていました。私は城南高校出身なんですが、城南高校って、普通に真面目で心優しい人たちが集まる高校なんですよ。優しいクラスメイトに囲まれてのびのび暮らすことで、進路選択の頃には、人に関わる仕事がしたいなと思うようになったことが、高校3年間での一番大きな学びでした。「人は環境によっていくらでも変われるんだ」ということを自分自身が体験して、いい環境をつくる仕事に就きたいという思いから、九州大学の芸術工学部環境設計学科に入学することになります。
それからご縁があって、都市開発のコンサルティングをする会社で働くことになったのですが、全然仕事ができない自分と向き合わなければならなくて、それが辛くて暗黒期を迎えます。当時の社長に退職の意向をお伝えした際に、仕事が辛かったら休めばいいし、プロジェクトが合わなかったら変わったらいいよと言ってくれたんですね。そのお言葉に甘えて、ご縁のあったシンガポールで1ヶ月、南の風にふかれていたら、自分がこうならなければならないというのは結局自分が自分を追い込んでいるだけだということに気がついて、それからもう一度自分にできることをできる範囲でコツコツやろうと思って、日本に戻ってきました。
その後、約3年前に「株式会社YOUI」という会社を立ち上げて、どうしたら人は安心して楽しく学べるのか、それによって人の本来の価値を最大化できる都市づくり環境づくりってなんなんだろう、ということを考えながら活動をしています。
体験に意味付けをする
岸さん:さて、ここで1つお二人に聞いてみたいのですが、今までで1番の学びだったという体験や学びってどんなことでしたか?今の自己紹介にも少し出てきましたがいかがでしょう。
岩永さん:僕の場合は、今年度4月から北九州市立大学でキャリアデザインという講義を担当させてもらって、自分自身のキャリアの中で何が学びだったかを全て振り返って、学生にこれから必要な学びって何かを体系的に授業としてデザインしました。その時に、全ての自分の体験が言語化できたんですね。
毎回授業後にレポートを書いてもらって、それを全部読んでフィードバックをして返すということをやっていました。学生は300人いたので大変だったんですが、それをやることによって次に何を話そうかということを考えることにも繋がるし、学生たちと一緒に自分も学びながら走っている感覚でした。
なので、体験の中に学びがあるんですが、それを頭の中で整理をして体系化してアウトプットできた時に、「学んだ!」という実感がありました。
岸さん:まさにインプットとアウトプットが高速回転している感じだったんですね。唯さんはいかがでしょうか?
原口さん:私は、中学校の入学祝にインターネットが使えるパソコンを買ってもらいまして、その時にインターネットがこんなに面白かったら、それはみんなリアルの世界で人と接しないよなって思ったんです。だから「インターネットより面白いまちをつくりたい」って思ったことが原体験になっています。
こうやって、人生を振り返ると、インターネットで得られる面白さをリアルなまちではどうやって再現できるのだろうということを、拙いながらもずっとやっているんだなと思った時に、自分の人生をかけた問いというものが私を生かしてくれているということに気がつきました。それが最近の一番の学びでしょうか。
岩永さん:問いがキーワードですよね。僕も「これって自分にとって意味があるのか?」と常に考えるようになりました。その意味付けをずっとしていくと学ぶことが増えていく気がしてます。
岸さん:このトークイベントをする上で、メッセンジャーで話していた時に岩永さんから「役に立つ学び」から「意味のある学び」に変わってきているんじゃないか?という話があったんですけど、、
岩永さん:役に立つ学びって、みんなが求めるのでマニュアル化できると思っていて、マニュアル化できるということは教科書になるし、インターネットで簡単にコピーできる。ということはこのインターネットの登場によってこの役に立つ学びは価値が下がっていくのではないかと思います。その代わり、意味のある学びは、意味付けできることってコピーができないんですね。人の頭の中にしかないので。なので、どんな意味があるんだろう?と考えることは、他者には真似できないことだからこれから価値が上がるんじゃないかなぁと思っています。
原口さん:そうですね。そしてその意味があるかどうかはずっと自分に問い続けないとわからないですよね。正解がこれですというわけではないから。
違和感を問いにしてみる
岸さん:ありがとうございます。それでは最後に、「わたしにとって学びとは?」とちょっと哲学っぽいですが、それぞれお話いただけますか?
岩永さん:やっぱり体験の言語化だなと思います。自分の体験は言語化できた時点で再現性が一気に上がるので、アウトプットした時点でインプットが生きると思うと体験の言語化が学びだと思います。
原口さん:わたしにとって学びは問いなんですけど、問いがわたしにとって何かというと、1番の恋人(親友)だなと思っています。問いは、行きたい世界に連れて行ってくれるんですよね。私一人ではいけないところに連れて行ってくれて、見たい世界を見せてくれる、出会いたい人と出会わせてくれると思うので、そういうものが私にとって問いであり、学びだなと思っています。
岸さん:いいですね。ぜひみなさんの中でも学びがなんだろうということを考えてもらうのもいいかもしれません。ここで、会場のみなさんから質問を受け付けたいと思います。会場から「問いを設計する工夫ってありますか」という質問をいただいていますが、いかがでしょう?
原口さん:まず、問いの答えが見つかるというよりかは、答えを探す過程でどれほど面白い旅ができるかが大事だと思います。そう思う上で、問いの立て方の工夫は、まず自分の感情が動くことが重要だと思います。ただ、疲れ切っている人は感情が動くということもなかったりするので、一度身体的、精神的、経済的に休息をとってもらうことをおすすめします。健康が整えられた上で、自分の悲しみや喜びで感情の動くところを問いのフックにするといいと思います。
岩永さん:僕は、問いというよりも違和感が先に立っているという気がしています。「ん?これなんだろう?」という、言語になってないけどなんか引っかかるものが、生活の中であると思うんですが、その違和感を認識して、持っておくことが大事かなと思います。
岸さん:ありがとうございます。それぞれ違う答えでしたが、なるほど、、と納得感のある答えだったなと思いました。まだまだたくさんお聞きしたいことがあると思いますが、一旦トークセッションは終了にして、懇親会の場でもっと密にコミュニケーションをとってもらえたらと思います。ゲストのお二人、今日はありがとうございました!
懇親会の終わりには、岩永さんと原口さんからこういった「セミパブリック」の場に足を運んで、そこから学ぶことも多いというお話をいただき、今回のイベントは終了しました!
仕事の延長線で学ぶこと、好きなことを追求すること、学びの種類にはいくつもあると思いますが、自分自身の興味のアンテナを問いに変えて、常に学び続けることが自分の成長に繋がる一歩なのかも知れないと感じました。
来月は、〜はじめた人のはじめ方〜海外での挑戦編〜
ご参加お待ちしてます!