2021年12月17日(金)来年から新たな取り組みを始めるHOOD天神のリニューアルオープンイベントを開催しました。
日中は、探索者たちと一冊の本の紹介と展示、地域で活動する探索事業者さんの展示、探索ラジオ、八女茶とフランス菓子を楽しんでもらう場など、気がつけば40名ほどの方々にご協力をいただき、彩り豊かなプログラムで次のステップに進むための1歩目を歩み出すことができました。
今回のイベントは、HOOD天神の新たなスタートとしての場であり、来年1月以降はまた新たな場として育てていきます。その記録として、今回のイベントをまとめたいと思います。
探索の扉を開く場所へ
2016年に天神という地に誕生して5年目のHOOD天神。
この度、コンセプト新たにリニューアルオープンすることとなり、キックオフイベントとして2021年12月17日に開催した今回のイベント。
開催にあたって「参加する人自身の中に“探索”を思い描くことのできる時間と空間」をつくりたいとメンバーと話していました。
このHOOD天神の次なるコンセプトとして「次のいとなみに、出会う場所」と掲げました。HOOD天神を訪れた人がそれぞれに自分の次のいとなみを考え、迷い、そこで出会った人と意見を交わすことによってまた進み始める。そんな場所にしたいという思いがあります。
そこにはいろんな段階の人がいて、これから次のいとなみ(=探索)に出発しようとする人、すでに探索の一歩目を進み始めている人、すでに探索を始めて何年も経過している人。その全てが「探索者」であるからこそ、このイベントではそれぞれの段階の人たちが交わりあうことで、化学反応が起きるかもしれないという思いでした。
そんな思いから当日は、6つのコンテンツを企画しました。
1.九州の探索と出会う企画展
今後HOODで展開する九州で活動をする探索者(事業者)さんを紹介する企画展。今回はその先駆けとして「新三郎商店(糸島)」さん、「池田絣工房(久留米)」さんのミニ展示を行いました。
「またいちの塩」で知られている新三郎商店さんは、すでに長きに渡り探索の歩みを進めている探索事業者さんです。今でもその歩みを止めることなく、脱プラスチックに向けた取り組みとして商品パッケージをプラスチック製のパウチから紙製のカップに変更。
海洋汚染の原因となるプラスチックをなるべく減らしていくために、探求を繰り返して新たなパッケージにたどり着いたとのこと。
今回のイベントでは特別にその変更の過程を展示してくださいました。
一方、池田絣工房さんも約100年の歴史をもつ天然藍染を今もなお丁寧に一本一本つくり続けていらっしゃる探索事業者さん。長きに渡る歴史を持ちながらも、現在では昔と比べると久留米絣を手がける機屋は軒並み減少。そんな課題に向き合うべく、様々な商品を丁寧に製作されており、今回のイベントではその商品の一部を展示していただきました。
2. 30人の探索者の生き方に影響を与えた1冊の本展
すでに九州各地で活動をする探索者たちのご紹介とともに、探索者たちに影響を与えた1冊の本をそれぞれに紹介していただきました。実際の本とともにその本との出会いのストーリーをもとにご紹介。次の探索に出発する人の背中をそっと押してくれるような言葉と出会えるかもしれません。
3. 飲食販売
イベント当日の日中は、八女茶とフランス菓子をセットで提供してくださる tatamiser(タタミゼ)さんが出店してくださいました。
オーナーである林田さんは、幼い頃からお菓子作りと日本茶がお好きだったとのこと。現在、日本茶離れが加速しているという課題を農家の方から聞き、ご自身が好きだったお菓子作りでその課題を解決できないかと活動をされています。
お隣では、森林コーヒーの活動をされている森永太一さんがエチオピアのコーヒー豆でコーヒーを淹れて提供してくださいました。野生のコーヒーを適切に手入れして森のコーヒーを生産し、安定供給と品質の維持ができれば経済性と環境保護の両方が成立し、持続可能なビジネスとなります。森永さんはJICAのこの活動を通して持続的森林管理プロジェクトに従事していらっしゃいます。
4. 探索トーク
HOOD天神内の小さな小屋をラジオブースに見立て、日中は「探索者トーク」となる公開ラジオをお届けしました。
ゲストにお越しいただいたのは、今回イベントで飲食を提供してくださった tatamiser の林田さん、同じくコーヒーを提供してくださった森林コーヒーの活動をされている森永太一さん、そして夜の懇親会で鹿肉を提供してくださったチカト商会の東雲輝之さん。
三者三様に、これまでの辿った道や今の活動に至った経緯やこれから行いたいことなどをお話いただきました。
5. トークイベント
夜のトークイベントでは、大きく3つのセッションに分けてお送りしました。
●探索者紹介ピッチ
SCREAM ICE CREAM
福岡を拠点に活動をし、「アート・クラフト」をコンセプトに感性豊かなアイスクリーム造りに挑戦している若手探索者さん。
活動の根源となっているのは「ありのままで人間らしく生きる人を増やしたい」という想い。だからこそアイスクリームでその世界を実現すべくまさに今探索の一歩を歩み始めた事業者さんです。
tatamiser
先述のとおり八女茶とフランス菓子で挑戦をまさに始めている方ですが、実は数ヶ月前に、店舗づくりをしたいので相談に乗って欲しいと福岡移住計画に相談のメールをいただきました。SALTとしては彼女の探索を事業計画や不動産面で支援していきます。今後HOOD天神での出店など含めてこれからの活動から目を離せません。
チカト商会
日本初の狩猟の会社を営んでいらっしゃいます。なかなか知られていない狩猟を生業にすることで、その普及を目指しています。狩猟には様々な課題がありますが、そのうちの1つが猟師の収入の不安定さであるとのこと。その課題を解決すべく情報発信に注目し、そのノウハウを提供することでお金を循環させるという取り組みを行っていらっしゃるそうです。
●探索事業者トーク
新三郎商店 さま × 池田絣工房 さま
第二部では、昼間の企画展にも出展いただいた2社によるトークセッションを行いました。昨年、新型コロナウイルスでの危機に直面し、多くの困難を乗り越えられた2社。
新三郎商店さんは、脱プラスチック問題へ向き合い、さらにはそういった思想を大切にする新たな仲間を募集されたり、社内のDX化にも励んでいたとのこと。
池田絣工房さんは、これまで続いた伝統を切らすことのないよう、改めて久留米絣のことをより多くの方に知っていただくための商品化やそれを伝えるための工夫を今もなお行っているとのこと。
両社ともに、課題や挑む地域や業界は違えど、この1年で向き合ったものから次の一歩を確実に踏み出しているという点では同じく、そして来年の1月には新三郎商店×HOOD天神、2月には池田絣工房×HOOD天神への活動へ続いて行きます。
人が集らない1年を経験した私たちが、改めてリアルに人と会い、その場を共有したり意見をかわしたりすることへの可能性。それを信じて期待しているのは、皆が同じ気持ちであるということを感じた時間でした。
●これからのHOOD天神へ
nice things. 編集長 谷合貢氏 × 株式会社SALT 須賀大介
トークイベントの最後には、これからこの場をつくっていく2社のトークセッション。
これからこのHOOD天神で行われていく次のいとなみの数々をどのように見据えているのか、2人のお話を聴きながら深めていきました。
今回のイベントに参加していただいた全ての人のように、探索の第一歩を踏み出そうとしている人や一歩を踏み出した人、そして2歩3歩と歩みながらもさらに高い山を登ろうと努力している人たち。
そんな人たちがここで交わりあい、互いに刺激し合い、さらなる次の営みへと繋いでいく。そんな場所をここからつくっていきたいというお話がありました。
そのためには、自分がどんな生き方をすると心地よいと思うのか、どんな人たちとどのような場所にいるときに自分らしいと感じるのかを知ること。そしてそれが分かったら、躊躇うことなく発信してみること。そうすることで似た意見を持った人や応援したいという人が必ず近くに集まってくるのが、今の時代の次のいとなみのつくりかたかもしれないというお話にはとても強く共感しました。
6. 懇親会
トークイベントの後は、懇親会を実施。
お食事は、福岡市の呉服町にあるレストラン「Libre」さんによる地元の野菜をつかったお料理の数々をご提供いただきました。
普段は、オーガニックワインと地元野菜でつくった食事を提供しているLibreさんですが、昨年のコロナ禍を機にランチやテイクアウトを楽しめる挑戦を次々に行っています。
そんな美味しいお食事とともに懇親会の時間を楽しみ、あっという間に時間が過ぎていきました。
あなたの次のいとなみは?
終日通して述べ40人以上の方がこのHOOD天神に足を運び、それぞれに探索の扉が少しでも動いていたら嬉しいです。
私たちは、これからこの場所で新たな探索の船出をします。それは私たちもまだ経験したことがなく、どのような探索が待っているのかすら分かりません。ただ1つ言えることは、私たちは小さくても大きくても挑戦をしようとする人を応援したい、そして私たちの挑戦と交わったのならその探索をともにすることで、もう1つ大きな探索の波にしたいということ。
きっとそれが可能になるのだろうと、先日のイベントの光景を見て確信しました。
最後に私ごとではありますが来年2月の出産を控え、一旦お仕事をお休みさせていただき、人生の中でも大きな探索を迎える準備に入ります。
未だ経験したことのないことだけに、大きな不安はありますが、HOOD天神でのキックオフのイベントが私の背中を押してくれたように思います。みんなそれぞれに自分の人生の探索をしている。答えを知っている人なんていなくて、自分が納得できる答えをつくっている。そう思えたイベントでした。
来年、我が子が生まれたら見せてあげたい景色がそこにあったような気がします。
さて、あなたは今どのような“いとなみ”を行っていますか?
その次のいとなみをぜひHOOD天神で聞かせてもらえたら嬉しいです。
当日のイベントの様子は、動画でもご覧いただけます。
各プログラムごとにご覧いただけますので、ぜひチェックして見てください。
▼イベント概要動画
▼ラジオ アーカイブ
▼トークイベント ライブ配信動画
来年のイベントについては、HOOD天神のHPやSNSにてお知らせいたします。
お楽しみに。
▼HOOD天神サイト
▼HOOD天神 facebook
(文・株式会社SALT 脇山理子)