【開催レポート】大企業からの転身者に学ぶ“はじめた人のはじめ方”

8月9日(金)19:30〜 「はじめた人のはじめ方〜大企業からの転身編〜」のイベントを開催いたしました。
当日は約30名の皆様にお越しいただき、ともに「はじめ方」について考える時間を過ごすことができました。

「はじめた人のはじめ方」は、まちを素敵にする“はじめた人”と、これから何かを“はじめたい”と感じている方とを“つなぐ”イベントです。
そんなイベントを福岡の中心にある天神から発信をすることで、福岡で自分らしく何かをはじめる人を応援できたらと思っています。

 

今回はゲストに、糸島で学生寮「熱風寮」 やゲストハウス「糸結」 を運営しながらまちの場づくりに尽力されている 大堂良太 さんと、屋外映画イベント「いとシネマ」を立ち上げたり、自治体と連携し地域の取 り組みを行なっている福島良治 さんを迎え、福岡移住計画の不動産部門を担当している 鎌苅竜也 とのトークセッション形式で、「はじめ方」について考えを深めていきました。

 

せっかくなので、今回もトークショーの内容の一部を
記事でもご紹介したいと思います。
「何かをはじめたいな」
「はじめたいけど何からはじめれば良いか分からない」
と思っている方にこそ、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。

人との繋がりから紡ぐ

鎌苅:今日はよろしくお願いします!今回は「大企業からの転身」がテーマということなんですが、せっかくなので、普段のトークイベントでは聞けないようなぶっちゃけ話なんかも聞けたらと思います。早速ですが、まずは現在の活動について教えてください。

大堂さん:現在は、糸島で様々な地域の場づくりをさせてもらっているんですが、その1つが学生寮の運営です。明治時代に建てられた建物には箪笥階段があって、昔ながらの雰囲気が残っていたり、あとはオーナーさんが多読家で自分の本を読んでいいよということで、5,000冊くらい蔵書されていたり、地域の子どもに九大生が寺子屋みたいに勉強を教えていたりとか、それぞれの寮でコンセプトが違ったりします。

あとは、地域でカフェをやっていたり、福島さんとやっている「糸島よかとこラボ」っていうコワーキングスペースをしていたり。今日は、そのデザインとかロゴを手がけてくれたデザイナーさんも来ていただいているんですけど、、。こんな感じで、寮から始まって「九大×糸島」とか交流スペースという形で、いろんな人と楽しく場づくりやってます。

鎌苅:はい、ありがとうございます。詳しいところはこのあとお話いただくことになると思うので、一旦次は福島さんにバトンタッチをしたいと思います。福島さん、お願いします。

福島さん:福島と申します。今回は大企業からの転身編ということで、前職からの流れを簡単に自己紹介の中に入れながら紹介させていただきます。
今回、大企業からの転身というタイトルなんですけど、実は僕が入社した時、楽天は全然大企業ではなくて、母親には反対されました。なので、大企業だからというよりかは、これからいろんなことにチャレンジできそうという希望を持って、入社したという経緯でしたね。それから10年半勤めたあとに、東日本大震災もあって暮らしを考え直した時に、福岡に住みたいと思って、家族揃って移住をしてきました。

現在何をやっているかというと、ライスワーク(飯を食うタネ)としては、楽天時代の経験を生かして色んな企業に対してのWEBマーケティングのサポートとかコンサルティングのようなことをさせてもらっています。
あとは、地域でやる活動が楽しくて糸島での活動を面白がってやっています。
例えば、糸島で面白い人たちが集まれたらいいなと思って、「いと会」という月に一度の集まりを企画したり、そこで出会った人たちと「いとシネマ」っていう屋外でやる映画イベントをしたりしてます。
これは映画館がない糸島で、糸島ならではの綺麗な星空の下で風を感じながら、糸島の食を楽しみながら、子どもにも映画館の体験を伝えたいというイベントを、やりたいメンバーで集まってやっていますね。

そこから派生して、本当に色んな活動をさせてもらえるようになりましたね。

鎌苅:ありがとうございます。僕からは簡単に自己紹介をさせてもらいます。鎌苅竜也と申します。大阪の生まれでして、福岡に来たのは2016年です。このHOODを運営しているのが、福岡移住計画というメディアを運営しているスマートデザインアソシエーションという会社なんですけど、そこの不動産部門の責任者をやっています。私は、東急不動産という会社に以前いまして、不動産ディベロッパーとしてまちづくりとか都市計画というようなことをやっていました。
現在は、こういうHOOD天神のような場所を作り出すことをやっていて、ここは西鉄さんと一緒にさせてもらっているんですが、あとは福岡銀行さんと一緒に別の働く場所を開発したりだとか。企業や個人が持っている使わなくなった不動産にいかに価値をつけていくみたいなことをやっているのが私の仕事です。

鎌苅:さて、早速質問に入っていきたいと思いますが、まずは今の活動に至ったきっかけをもう少し詳しく聞かせてもらえますか?大堂さん、いかがでしょう?

大堂さん:僕は、熊本出身で大学も九州だったので、いずれ九州に戻ってきたいと思っていました。大学時代の仲間と「40歳になったら、それぞれの活動をやっていると思うけど、みんなで九州を盛り上げる会社をつくろう」って言っていたことが、大きなきっかけだったかもしれないと思います。
学生寮やりたいというのは、決めていなかったですが、「九州に住みたい」「九州を盛り上げたい」という思いが漠然とありましたね。

鎌苅:なるほど。場所とかエリアが先行したということなんですね。そういう意味で言うと、先ほどの福島さんのお話の中でも暮らしたいまちという観点は出ましたよね。

福島さん:そうですね。僕は九州の人ではないんですけど、今の活動のきっかけを遡ると移住したことが大きかったと思います。移住のきっかけは、東日本大震災で。今後の人生を考え直したというところですかね。さらにその1年後くらいに父が他界したこともあって、今後子どもを育てていく上で育てる環境や自分のこれからの人生を考え直した時に移住するという決断をしました。

そんなことで、移住した福岡で今の活動に至ったきっかけは、やっぱり仲間との出会いだったように思います。「いと会」で出会った仲間が本当に魅力的で、自分一人では何もできないけど、そんな素敵な方々と話していると「これやっちゃおうよ!」「やってみよう!」と話が進むことが多かったですね。

鎌苅:なるほど。やっぱりその場で出会う人から繋がっていったんですかね。

大堂さん:そうですね。僕も学生時代学生寮に住んでいて、その居心地のよさとか、そこで悩んだ時にその場の人に励まされたりした原体験があって、そこで出会った人や体験したことがあったから「学生寮」という場づくりに繋がっていたのかもしれないですね。

鎌苅:東日本大震災とか、東京での暮らしとかの中できっと同じような体験をしている人はたくさんいるはずですが、その体験から「暮らしを考え直す」とか「移住を決断する」という行動を選択をしたことにもポイントがあるような気がします。きっとそこを話すと長くなりそうだなと思いますが、次の質問は、その選択のポイントにも近い質問をさせてもらおうと思います。

違和感に気づく

鎌苅:続いての質問は、ぶっちゃけの質問になるかもしれないですが、今回の大企業からの転身ということなので、大企業の中での葛藤ってあったのか聞いてみたいと思います。僕も大企業にいる中で葛藤とかあったんですけど…

福島さん:どんなことがあったんですか?

大堂さん:食い気味で聞いてみたい(笑)

鎌苅:(笑)いわゆる東急不動産のような不動産ディベロッパーの会社だと、大きなお金を動かしながらいろんな会社さんに発注する側の立場だったんですね。なので、新入社員の時から接待が多かったんですよ。それに対して「そんなことしてていいんだろうか?」っていう気持ちが入社してまもなく湧いてきて。

いろんな時代背景の中で、会社全体の動きを俯瞰してみて、若造なりに「そこに乗っかっていっていいのかな」という気持ちもあったんですね。

そんなことを考えているうちに、会社でうまく生きていく力みたいなものだけが培われているなと気づいたんですよね。
本当に自分が生きていく力と違うスキルが培われて、これはこのまま会社にいて大丈夫なのか?!と自問自答してましたね。

福島さん:めっちゃ分かりますね。そもそも僕が入った頃の楽天は、大企業ではなかったんですけど、会社がどんどん大きくなっていくと、それまでそれ程必要ではなかった“サラリーマン力”みたいなものも大事になってきて(笑)

それと同時に、会社を辞めて独り立ちした時に、果たして自分の力で生きていけるのかとか、会社によって生かされているというか、地に足ついていない感というのは非常に感じるようになりましたね。

大堂さん:僕は、大企業ゆえの葛藤というよりかは、自分ができなさすぎて上司に怒られまくったんですよ。仕事ができなさすぎて、記憶力もないし、ルーティンができないしでやっていけるかなっていう葛藤の方が思ってましたね。

そんな経験があったから、「自分のやりたいことはここにあるのかな?」とか「別の場所に行ったらもっとやりたいことできるのかも」みたいな思いはありましたね。

でも、転機としては、入社5年目に部署異動があって、そこですごくいい上司に恵まれましたし、自分としてもいい仕事をできるようになってきたなという思いがありましたね。

鎌苅:大企業に限らず、人事異動は企業にとっては大きなイベントですよね。そこでいい上司との出会いがあることもあれば、そこに一喜一憂するってどうなんだろうなって思いもあったりして。でも企業にいながら、感じる違和感とか自分の中での「これでいいのかな?」という感覚を大事にするっていうのは重要なのかもしれないですね。

まずは動き出してみる

鎌苅:早くも最後の質問になってしまいますが、これから一歩踏み出そうという方々に向けて、ヒントみたいなことがあったら教えてください。

福島さん:僕は、自分の天職とか自分がやりたいこととか結構長く考えていたんですけど、結論分からなかったんですよね。でも、結果今幸せで、現状がいいか悪いか別として、満足して過ごしているんです。それはなぜ出来たかと言うと、思ったらまずは行動をするというところなのかなと思います。小さくてもいいから思ったらまずは行動してみる。かの有名なブルースリー大先生もおしゃってますけど(笑)

Don’t think.Feel!!!

というね。あまり考えすぎずに直感的に感じることを大切にすることも重要だと思います。

大堂さん:僕は2つあって、1つはやりたいことがある人は、やりたいことを言葉にするということが大事だなと思います。パートナーでも友人でも、家族でも上司でも。そうすると、周りもあの人こんなことやりたいんだということを知ってもらえるから、いろんな人を繋げてくれるきっかけになります。僕の場合も、学生寮をやりたいということを伝えたら、福岡にいる仲間が物件を紹介してくれたり、大工さんを紹介してくれたりという次のステップに繋がりました。

福島さん:確かにそうですよね。言葉にして発信するということですね。

大堂さん:そうそう。ブログでも近くの人にでも手段はなんでもいいと思うんですけど。本当それやってると実現していきますよ、不思議なことに。
もう一個、何やりたいか分からないとかモヤモヤしている方は、みなさんが今日ここに来て下さっているように、まずは動いてみるということですね。
アメリカのキャリアを研究している有名な学者さんの言葉なんですけど、キャリアの築き方のほとんどが「計画的偶発性理論」みたいなことで、やりたいことをやって、自分の枠から飛び越えてチャレンジをした人が次のチャンスをつかんでいるという研究もあるみたいです。
僕自身の体験からも動いていると必ずチャンスに繋がっていると思います。

鎌苅:ありがとうございました!まずはやりたいことを言葉にして伝えるということと、自分の目の前にあることを楽しんで行動してみるということが1つのヒントになりそうですね。お二人からのお話は以上です。今回は本当にありがとうございました!!

▲今回は会場にて、「はじめ方ヒント集」をお越しいただいたみなさんと作りました!みなさんがイベント中に心に残ったヒントを記入して出来上がったのが、ビールのお中元として完成しました!

 

 

トーク終了後は、会場からのぶっちゃけな質問にも答えていただき、ご参加いただいた皆さんとゲストを交えた懇親会を行いながら、交流を深めました。

 

大企業に限らず、日々の業務に追われているとどうしても自分の将来について考える時間がなかったりします。そんな時に少しだけふとこれからの暮らしについて考えてみる。このままでいいのかな?と違和感を持つことがあったなら、小さくてもいいから行動をしてみるということが、次のステップの第一歩になるのかもしれません。

来月は、はじめた人のはじめ方〜好きが仕事になった人編〜
ご参加お待ちしてます!