イベントレポート:Noya VIllage 種のお話し会 〜夏〜

固定種野菜を広めようと活動しているNoya Villageの「種のお話し会」2回目(夏編)を、8月7日に開催いたしました。

今回はそのレポートと、8月9月の今後のイベントについてお知らせいたします。湯布院「亀の井別荘」にてNoya Villageの固定種野菜を亀の井別荘料理長が料理するランチイベントも予定しています!

種のお話し

今回参加いただいた方たちは、食に関心があったり、種子法や九重という地域に興味があったりと、様々でした。1回目から続けて参加された方も。

Noya Villageのひのさんが農業をする大分県九重町野矢は、湯布院駅の隣駅にあります。野矢で暮らす70代や80代のおばあさんたちにひのさんたちが話をきくと、戦後は種を採ってまたまくのがあたりまえの自給自足の暮らしだったそうです(現在は多くの農家が毎年種を買っているそう)。Noya Villageでは、こうして食の自給自足をとりもどそうと固定種野菜を守り広める活動をしています。

今回は種の流通についても解説がありました。これまで食糧の安定供給のために種子法というものがあり、米などの主要な食糧の種子を守ることが都道府県に義務付けられていたのだそうです。しかし種子法が廃止されたことによって民間が種の流通に参加しやすくなることで、農家が種を購入する価格が上昇すると予想されているといいます。

さらに、ひのさんが野矢で農業を続けていく中で、地域の農家が高齢化のため減少しているそうです。亡くなったり、野菜を作らなくなったりして、生産をする担い手が少なくなっているのです。そして気象状況も数年で変わってきたといいいます。夏には夕立も無く雨が少ない、冬には霜が早くおりるなど、野菜が育ちにくくなっています。そのため、野菜価格が高騰することが多くなってきました。

こうした背景から、ひのさんは「食べ物を買うだけの時代は、もしかして長く続かないのでは?」「今は目の前にたくさんの食べ物があっても、将来もし種が手に入らないようになったら作れなくなるのでは?」といった問題意識が強くなりました。なんでもすぐに手に入る時代だけど、食べるものを自分で作れないというのは生物としていのちが危険な状態だと感じる。それならば、つくる力を身につけられるようにしたい!と考えて、都市部で暮らすひとにも「食べ物は、自分の種で、自分でつくれる」と伝えようとしています。

ゴボウの種を参加者に見せるひのさん

ゴボウの花と種。一本のゴボウには100個くらいの花がつきます

ひのさんおすすめの本『タネが危ない』。ひのさんが固定種について知ったきっかけの一つ

固定種野菜の試食

この日ひのさんは、育てている固定種夏野菜のいくつかを持ってきてくれました。ふだんあまり見かけない、黒いとうがらしや、白かったりトゲトゲだったりするきゅうりなどです。

ひのさんは「艸月 -sougetsu-」という宿も経営しています。艸月は一組限定宿で、7月に発売されたミシュランブックでは4つ星旅館として紹介されています。そんなひのさんが宿で出す食事の試食を料理してきてくれました。

ブラッシュタイガーというのは縞模様の入った縦長のトマト。ひのさんたちが特におすすめのおいしい品種だそう。ひのさんはおいしい品種やめずらしい品種に出会うと種を採って自分で育てています。

料理前の状態で見て触ってみます。いろいろなきゅうりたちは、シワシワに見えたり、曲がっていたり、大きく育ちすぎに見えます。ですがこれらはそういう品種なのだそう。

最初はヴィシソワーズスープ、そしてサラダプレート。この後はほかにもチヂミやナス揚げ浸し、えごまにぎりなど。やさしい味付でいろいろな料理を試食できました。

野菜本来の味をしっかり感じられるよう、調味は最低限にしているのだそう。

どんな風に育てているのかなど、直接教えてもらいながら味わいました。

最後は甘いデザート。きゅうりも入っているのですが、フルーツのように食べられます。

試食の後には、トマトなどの種採り方法を教えてもらいました。

水をはっておいて、種をしぼりだします。2〜3日ひたしておくと、種のまわりの”ヌメヌメ”がとれるので、ざるで漉して乾かし、ジップロックなどで保管すればOKです。”ヌメヌメ”をとることで種が傷みにくくなります。バターナッツも同じ要領ですが、種が水に浮くものは使わないほうが良いため、取り除きます。

家庭菜園をしている方がいらしたので、ひのさんの固定種の種をプレゼント。うまく育つといいですね!

次回HOODイベントは、9月25日にHOODで開催。(詳細は追って掲載いたします)
野矢という地域の課題解決に向けて、3つのテーマを掲げてみなさんのアイデアを募ります!
予定しているテーマは以下の3つです。

1)固定種野菜の栽培、企画、デザイン
Noya Villageでは、村に種が残る固定種野菜や在来米を地域住民と育てています。そして今後はできた農産物を販売していきます。

自然栽培や有機栽培などの手法でつくる固定種野菜は、栽培計画も天候に左右されたり、量産もできません。そこで、生産した旬の野菜を喜んでくれるお客様を探し、その方達へ届くような流通作りをしなければなりません。どのように付加価値を付け、見た目や流通をどうデザインしていくか、みんなで考えませんか?

2)Noya Villageの村づくり
そんな固定種野菜を作る村づくりをする「野矢」駅周辺の村は、日本古来の美しい原風景があり、筑後川の源流となる清き湧水、多くの生き物や自然が残る静かな里山です。一方、農家の高齢化にともない、田畑が荒れ始め、空き家も増えているのが現状ですが、自然以外の何もない田舎だからこそ体験できる宝がたくさんあります。

そんな耕作放棄地や空き家を使って毎月行っている田舎&農業体験。その体験を観光化して村づくりが行えないだろうか?住民には見えない貴重な宝があるのではないだろうか?この村づくりを一緒に考え、野矢の宝を見つけてもらえませんか?都会に住むみなさんだからこそ、見えるものがあると思います。

3)明治築古民家再生事業
明治43年築の元かやぶきの古民家の補修を進めています。
土間に設置された囲炉裏を残しながら、家の中にある中庭と題しギャラリーを開設し、いずれ民泊かカフェにしたいと思っています。

ところが補修を進める中で、予想外に雨漏りも始まり、被せているトタンも張り替えなければならなくなりました。他にも、内装のデザインや壁塗りなどに人手が足りず困っています。かやぶき屋根の家は、これから新たに建築しようと思ってもなかなかできません。そんなかやぶき屋根の古民家再生に参加しませんか?

野矢で農業体験

今月の田舎体験は、里山散策と昆虫探検!今週クヌギ林へ視察へ行ってきましたが、立派なカブトムシに会えました。樹液の香りがぷんぷんします。トンボやカナブン、蝶々など、たくさんの生き物を観察しながら、どんな生き物がいるのか、先生にどんどん尋ねてくださいね!

午前の農業体験は、冬野菜の種まきを行います!

日程:8月23日(木)および 8月25日(土)
料金:大人 3,000円/人(子ども2名まで無料)
ご予約:info@noya-village.comにメールにて事前お申し込み(前日締切)

固定種ランチ会

1)のやの昼ごはん:一組限定宿の艸月でいただく野菜コース
色んな料理人にNoya Village産の固定種野菜を料理していただくランチ会を、湯布院にある一組限定宿艸月-sougetsu-にて開催いたします。
日程:8月26日〜30日、9月10日〜14日
料金:お一人さま、税込3,000円
ご予約:info@noya-village.comにメールにて事前お申し込み
http://noya-village.com/2018/08/01/のやの昼ごはん@艸月-8-26〜/

2)のやの昼ごはん 亀の井別荘で味わう固定種野菜
亀の井別荘料理長によるこだわりのお料理をご提供いたします。亀の井別荘で、固定種野菜について料理長&ひのさんと語らいながら、お召し上がりいただく形の食事会です。
日程:
9月4日
料金:
お一人さま、税込5,400円(限定20名)
ご予約:
info@noya-village.comにメールにて事前お申し込み
http://noya-village.com/2018/08/01/のやの昼ごはん@亀の井別荘-9-4/